こんにちは、ふるせいくえです。
つい先日、夢の中に亡き父が出てきました。
他界して28年で初めてのことです。
私が9歳の時にいなくなった父。
中卒で丁稚奉公に入り、
自分の店を持っていた職人でした。
私が18歳でケーキ職人の世界に入ってから、
悩んだ時やくじけた時には、
「お父さん!私はどうしたらいいの!?」と、
泣きながら空に向かって話しかける夜もありました。
そんな時、さっさと死んでしまった父を憎んだし、
「何で側にいないんだよ!ばかやろー!」
って叫びながら泣いたことも何度もあります。
せめて夢の中だけでもいい。
これ以上頑張れないギリギリの私に、
どうか「大丈夫だよ」って言って欲しい。
いつもいつもそう願っていました。
夢の中でお父さんは、
トレードマークのハンチングを被り、
私の元にやってきて「ただいま」と言いました。
私は弾んだ声で「おかえり!」と答えました。
そして私を高く持ち上げて抱っこをしてくれました。
それはまるで子どもの時のように。
その時に「やっと会えた!嬉しい!」という感情から、
「寂しかった!ずーっと寂しかった!」っていう感情に変わり、
お父さんの胸に顔をつけて気付かれないように泣きました。
その瞬間に目が覚めて、夢は終わり。
***
過去には何度も当時の思いを振り返り、
未消化の悲しみを感じる時間を作っていたのに、
今回の夢を思い出すたびに涙が滲んでしまう。
あぁ、もうお父さんには会えないんだなぁ。
現実世界では絶対に会えないんだよなぁ。
なんだかしみじみと「別れ」の悲しさが押し寄せてくる。
28年前、
父が亡くなった時には1滴も涙が出ませんでした。
その後も、私が職人の世界に入るまで、
一度も父がいなくて寂しいと泣いたことはなかったのです。
28年という時間を超えて、
ようやくお父さんが居なくなった寂しさを感じ、
思いっきり泣きました。
そうしたら、なぜだかすっきりして、
それと同時に、
「私はすでに寂しくないから寂しさを感じられるんだ」
と気がつきました。
そう、
過去の私には、
大好きなお父さんとの別れなど、
その悲しみ、寂しさ、辛さは、受け止めきれるものではなかった。
だから、
寂しかったから寂しくなかったし、
悲しかったから悲しくなかったし、
泣きたかったから泣けなかった。
でも今、
寂しくないから寂しさに浸れて、
悲しくないから悲しさに浸れて、
泣く必要がないから泣けるんだ。
安心して寂しくなれる。
安心して悲しくなれる。
安心して泣ける。
そういうものなのかもしれない。
そうならば、私はとっても幸せだ。